大切な人へ
着いたのは2年生の時の教室。
右から3番目、前から3列目が喜一の席だった。
喜一はいつもこの席が好きだと言っていた。
先生に当てられないし皆に注目されるからって。
私は喜一の席だった所にに座って





喜一、此処…好きだったよね。





って喜一に言った。
喜一の周りはいつも賑やかだった。
喜一は2年生になっても人気者だったから。
彼女の私はいじめられたりもした。
でも喜一がいつも私を助けてくれた。
女子トイレにまで助けに来てくれたときはちょっと驚いたけどね。

私が一番此処が思い出に残ってるわけ…それは…
あのバレンタインの出来事…。


―2年生の2月14日―

バレンタインは喜一にとって一番辛い日だった。
理由??
そんな事決まってる。


『モテる』


から。
一日に何十個ものチョコレートを喜一は貰う。
だから私は毎年喜一にはチョコをあげないようにしてた。

「喜一、ちゃんと紙袋持ってきた??」

私はその日もたくさんのチョコを貰うものだと思ってそう聞いた。

「ん~??今年は要らない。」
「だってチョコ…。」
「今年は皆からは貰えない。」

私には意味が分からなくて

「何で??貰ってあげたら??」

って言ってしまった。
そしたら

「意味分かんない??…もういいよ。」

喜一はキレて教室に入って行った。
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