大切な人へ
大倉くんの言葉は私の真っ白な頭にスッと入って来た。
意味も理解できていた。

でも言葉には出来なかった。


「喜一、心臓悪いって知ってた??そしてもう命が悲鳴あげてるってことも…。」


大倉くん…それって喜一死んじゃうってこと??
言いたいのに言えない。
声が出ない。

その時だった。


♪~♪♪♪~…


大倉くんの携帯が鳴った。


「はい…えっ!!喜一が!?今行きます!!」

ピッ。

携帯を切った後直ぐに大倉くんは私に

「奈菜子、お前も来い!!死んでも俺が喜一に逢わせてやる!!」

と言って私の手を掴んで走り出した。


「ちょ…大倉くん!?」


私の声なんか聞こえてないみたいな顔で大倉くんは走っていた。
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