大切な人へ
「喜一…??」

目に飛び込んできたのは体にいっぱい管がついた喜一だった。

「君!!下がってて!!」

お医者様が私を怒った。
何が起きてるのか分からなかった。

「ななちゃん…??」
「おばさん…??」

私に話し掛けてくれた喜一のお母さんは真っ赤な目をしていた。

「おばさん…。あれ…喜一なの…??」

半信半疑で聞く。
私は一言『違う』って言って欲しかった。
でも、返ってきたのは

「喜一、ななちゃんには言ってなかったのね…。そうよ。あれは喜一よ…。」

という答えだった。

「嘘だよ…。だって喜一は…。」

だっておばさん。
喜一は飛んだり跳ねたり元気すぎるぐらい元気なんだよ??
よく冗談言って笑わせてくれるんだよ??
笑顔しか似合わないのが喜一でしょ??
だから



あれが喜一って言うのは嘘でしょ??




「奈菜子。あれが今の喜一なんだよ…。」

大倉くんは目に涙をいっぱい溜めていた。
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