大切な人へ
だから家よりもこの公園のほうが好き。

喜一もこの公園が大好きだった。
特にぞうのすべり台は思い出だろうな。
だって喜一は私とけんかしたり親に怒られたりすると絶対この公園に居たから。
しかもぞうのすべり台の下で体育座りして泣いてたんだよ??

…今となっては相当可笑しい。
でもあの頃は、可笑しいとは思わなかったんだから不思議だよね。


そう思ったら自然に顔が緩んだ。
喜一が居たら『笑うなよ』って言われそうだな。




喜一。
懐かしいね。
まだ覚えてる??





私は心の中で喜一に言った。




ヒュウ~。




風が少し吹いた。
まるで喜一が返事したみたいだった。
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