赤の世界
 
俺の言い分は認められない。

景は俺を担ぎ
無理やりリビングに連れる。

冷蔵庫から適当に食品を探し
パンと一緒にテーブルに置く。





「とりあえず何か食え」

景はそう言って
食べるまで睨むつもりらしい。

仕方なく俺は
大して興味も湧かないのに
食品を掴み喉へ通らせた。

俺が食事を済ませると
景の目が少し緩んだ。

だけどすぐに真剣な目になって
まっすぐに俺を見据える。





「昨日楓さんに会ったよ」

「1月の頭から連絡取れないって」

「この家のまえをウロウロしてた」

「すぐ悠の彼女だって分かった」





「そっくりだったから」

そう、言った。


 
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