赤の世界
とても温かかったのに。
まるで豊かな
陽だまりにいるみたいに。
それでも彼女の方がいいだなんて
俺は薄情だね。
「あのコに会いたい」
「会ってちゃんと思い出したい」
「景はあのコを知ってるんだろ?」
「あのコと会わせてよ…」
俺は景にすがった。
景は哀しそうな顔をする。
「明日の朝6時半に…」
俺は目を見開いて景を見る。
会えるんだ。
彼女に会えるんだ。
「大通りの交差点へ来てくれ」
景はそう言って
彼女に会える場所を教える。
「ありがとう…」
とても素直にそう言えた。
彼女に会えるんだ。
そう思うと心が落ち着いていく。