赤の世界
 
日の出が始まったようだ。
少しずつ辺りが明るくなる。

交差点の少し手前に景がいて
手を上げて俺を呼んだ。





「俺も一緒に行くよ」

景はそう言って隣を歩き出す。





ゆっくりと

ゆっくりと

交差点に近づいた。





信号機の下に女のコがいる。

雪の中で傘をさしてる。
赤いビニール傘を。



朝の日が差し込んでいる。

赤い傘を通した光は

傘の下の彼女を

赤く染めていた。




 
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