赤の世界
「じゃあ泊まろうかな」
「やったぁー!」
アユミは嬉しそうに
手をパチパチと叩く。
その姿が可愛く
頭を撫でてあげた。
今日もこうして人と繋がる。
俺を求めてくれる人を
俺は求めていた。
アユミのようなコは沢山いる。
同じ高校にも、他校にも。
人に求められて、求めて。
狂った感覚の中で俺は、
普通に生きたいと願っていた。
(笑えるね。)
本当は、普通に生きたい。
けれど出来ない。
どうすれば普通に生きれるのか
俺はそれを忘れていた。
忘れるまでは
ちゃんと生きられていたのに。
今は寂しさの飢えと渇きが酷くて
周りの景色さえよく見えない。