赤の世界
君は盾を守るんだ。
君のために生きて
君のために死ぬ事が
俺の願いなのに。
轢かれる直前に君は
俺を両手で突き飛ばした。
体が車の進路から僅かに外れ
俺は怪我をするだけで――
それだけで済んでしまった。
君は俺の代わりに
死んでしまったのに。
脚と腕が折れて
動くことが出来なかった。
俺の目の前で
君が苦しんでいたのに。
近寄ることも出来ずに
少し離れたところから
君が息を引き取るのを
泣き叫びながら見ていた。