赤の世界
2. 灰色の恋愛
俺が普通に生きれなくなったのは
ひとつの事故がきっかけだ。
高1の冬。
いつも通り登校していた俺に
乗用車が突っ込んできた。
それは霜の出来るような
寒い朝の事で
空からは
雨まじりの雪が降っていて。
俺は片手にビニ傘を差して
大きな交差点を渡る所だった。
寒さに凍った道路のせいで
スリップを起こした車が
横断歩道へと突っ込んできた。
その中央にいた
俺を目掛けて。
突然視界に車が飛び込んできて、後のことは何も解らない。
手に持っていたビニ傘が
俺の体と一緒に跳ね上がり
跡形もなくなっていた。