赤の世界
そして冬が来た。
悲劇の日も近づいた。
だけど俺も雪も
そんな事は知らずに――
訪れた冬に浮かれていた。
そしてあのマンションで
寄り添って日の出を見たんだ。
真っ赤に染まる街を見て
綺麗だと言って――
2人で一緒に
赤い光に飲まれた。
「素敵だね」
「これからも毎年」
「一緒に見に行こうね」
そう言って
あの華奢な指輪を渡したんだ。
毎年一緒にって――
その願いが叶うように。
あの朝焼けの景色の中で
雪の髪が赤い色で揺れた。
その光景が
瞼に焼きつくほど…
大好きだったんだ。