赤の世界
事故の日。
日直の仕事で
少し早く家を出ると
そこに見慣れた人影があって
すぐに雪だと分かった。
俺が声を掛けると
白いコートを着ていた雪は
寝坊しちゃったと言って
恥ずかしそうに笑った。
偶然に会えて
俺はそれを喜んだのに。
みぞれ雪が降っていた。
俺は雪の傘をたたませて
俺のビニール傘に招いたんだ。
赤いビニール傘に。
傘を通した光が
雪と俺を赤く染める。
雪の頬もコートも
綺麗に赤く染まって…
夢の中で見ていたのは
この雪の姿だった。