赤の世界
太陽に向かって歩いた。
それをフェンスが邪魔した。
胸の高さまでのフェンス。
俺はそれに足をかけて
そっと屋上の縁に立つ。
「何やってるんだ…!」
大きく喚く聞きなれた声。
振り返ると景がいる。
「はやく戻って来い…!」
肩で息してる。
走って追いかけてきたんだね。
「俺は死ぬよ」
笑ってそう言った。
「馬鹿言うなよ…っ」
景が哀しそうに叫ぶ。
哀しんでくれるんだね。
「ありがとう」
「何言ってるんだ…やめろ…」
その気持ちだけで十分だ。
今まで俺を見守ってくれた。
俺が立ち直るまで
側にいようとしてくれた。
最高の親友だよ。
だから。
分かってくれると思う。