赤の世界
 
―――ピッ。

―――ピッ。

―――ピッ。

―――ピッ。





ここから逃げたい。

だけどどんなに歩いても
暗闇が続くだけ。

どうしてこんなに
辛い思いをするのだろう。

俺は雪に会いたいだけなのに。





(ここは地獄なの…?)

そう考えると妙に納得する。

俺は雪を守れずに
その痛みすらも忘れて

最低な方法で
心の傷穴を埋めた。

地獄に来て当然なんだ。





ここに雪がいなくて良かった。

雪は天国に行けたんだ。

きっとそこは光が溢れて
とても温かいんだろう。

雪が暖かな場所にいるなら
俺は苦しみにも耐えられる。





「…愛しているから」

そう言って目を閉じた。


 
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