赤の世界
―――ピッ。
―――ピッ。
―――ピッ。
―――ピッ。
目を閉じたのに。
瞼の向こうが急に明るい。
(ぇ…っ?)
何故だかわからず目を開ける。
するとそこには暗闇がない。
まったく違う景色。
一面の雪景色。
どこまでもどこまでも
雪のじゅうたんが続いてる。
「雪…いるの…?」
名前を呼ぶけど変事はない。
彷徨うように歩くと
遠くの方に雪がいた。
「雪…!」
叫びながら走り寄ると
雪が寂しそうにこちらを向く。
そして黙ったまま俺に
小さな左手を差し出した。
その手の薬指には
俺があげた指輪が光っている。