赤の世界
―――ピッ。
―――ピッ。
―――ピッ。
―――ピッ。
―私は太陽じゃない―
―太陽はあなたの方―
雪が小さな唇でそう言った。
「そんな訳ないじゃないか」
俺は雪とは違う。
ただの無意味な産物なんだ。
俺がそう言うと
雪はぶんぶんと首を振った。
―あなたが太陽―
―だから私は何度でも―
―この手であなたを守る―
目の前の手は白くか細い。
「そんな事しないで…」
俺に雪の手を煩わせるような
そんな価値は無いんだ。
雪が笑う。愛しい笑顔で。
―ずっと側にいるよ―
―ずっとあなたを守ってる―
そう言って雪は消えた。
拙いその声も一緒に。
辺りが静かになって
またあの機械音が響きだす。