赤の世界
 
―――ピッ。

―――ピッ。

―――ピッ。

―――ピッ。





どんどんどんどん
音が大きくなっていく。

どんどんどんどん
音が耳に迫るように。

煩い。煩い。煩い。

雪の拙い声を
忘れてしまうじゃないか。

煩い。煩い。煩い。

誰か音を止めて―――。





雪の声…どんなだった?

思い出そうとするけど
音が邪魔で分からない。





また忘れてしまう。

もう嫌なんだ。

どんな声だった?

どんな。どんな。どんな。

ねぇ、息が出来ないよ。


 
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