赤の世界
この欠落感さえなくなれば
この寂しささえ埋まれば
何度もそう思った。
(そうすればきっと。)
普通に生きられる。
なのに俺はずっと飢えたままで。
誰かに相談したかったけど
哀れむような目がこわくて
景には言えなかった。
そしてもう
相談する相手などいないと
ゆっくり理解した。
俺はもう立ち直れない気がする。
最近じゃ女のコと居てまでも
心の飢えを感じるから。
手に負えきれない
砂漠のような心が胸にあって
理由もなく苦しい。
そして明日も明後日も
延々と苦しいのだと
教えているかのように
苦しみは止まない。
(夜にさえなれば。)
心でつぶやくのはこの一言。
夜にさえなれば
眠りが俺を救ってくれる。
唯一俺の心を救うのは
夜に見る夢だった。