赤の世界
10. 優しい痕跡
マンションから飛び降りたとき
指輪を握った手を
高く伸ばしておいたんだ。
叩きつけられても
この指輪は無事であるように。
俺が考えてたことは
それくらいで。
後は背中から落ちて
俺の背骨が折れた頃には
きっと雪の側にいけるって
そう思ってたんだ。
雪は何を考えていたの?
どんな事を思って
その左手を俺に伸ばしたの?
(俺を助けたのは)
(やっぱり雪だったんだね。)
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10. 優しい痕跡