赤の世界
 
「雪がどうした…?」


病室のベット横にいた景が
不安そうに俺の顔を見る。





「雪が俺を助けたんだ」

馬鹿にされるかもしれない
そう思ったけど

目を見据える俺を
景は笑ったりしなかった。





「…知ってるよ」

景が優しく笑む。
丸い目が笑ってる。

「背中の痣を見ればわかる」

そう言って景が
俺の背中に目をやる。




「背中…?」

俺は背中に痣が出来ている事を
その時初めて知った。




「この間悠が着替えてる時…」

「その痣が見えたんだ」

 
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