赤の世界
 
景は少し嬉しそうで
にこやかに話し続ける。

「紅葉みたいな形でさ…」

「人の手みたいにも見えるんだ」

「俺達の手より一回り小さくて…」


そこまで言うと
景は俺の目に視線を戻す。





「悠は誰の手だと思う…?」

「誰が悠を受け止めたと思う…?」





やっぱりそうだったんだ――。

あの時俺を助けたのは

俺を軽傷で済ませたのは

やっぱり――。





「俺には羨ましいんだ」

不意に景がそう言う。

「その強い絆が」



強い絆…。

雪との絆…。


 
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