赤の世界
 
「俺にとっても雪は…」

「かけがえのない大切な人だけど」

「俺にはその絆がない」

「だから羨ましいんだ」


景は寂しそうに笑って
その丸い目を少し伏せた。





俺には絆がある。

雪との絆がある。

その痕跡もある。

だから俺がいる。





どうしてだろう。

俺は雪を守れなかったのに

どうして雪はそこまでして

俺を守ってくれるんだろう。




雪がそこまでして
この平穏をくれるのに。

雪のいない世界で
何をするべきかわからない。


 
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