赤の世界
 
また少し寂しくなった。


救われては足元が脆くなる。

いつからこんなに
俺は弱くなったんだろう。

きっと元から
俺は弱かったんだろう。





そんな俺を騒がせるほど
雪が強さを分けてくれた。

それだけの事。





俺は弱い人間だ。

だけどもう逃げない。

強く生きるんだ。

一人だけでも。

雪がいなくても。





何のためになら
強く生きられるだろうか。

考える時間は
余るほどたっぷりあった。

どうせ退院はまだ先なんだ。

ゆっくり考えればいい。

楓の残した痣を背負いながら。



 
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