赤の世界
11. 永遠の愛情
俺は何のためになら
強く生きられるだろう――
数日間ずっと
それについて考えた。
考えても考えても
漠然とも浮かんでこない。
思い返せばいままでずっと
人に甘えて生きていた。
雪や楓やアユミ達に囲まれて
一人で地面に立ったことがない。
いまだって隣には景がいる。
本当に寂しがり。
「険しい顔してるね」
景が笑顔で病室に入ってくる。
「今日も考え事?」
景は俺の眉間を見ているようだ。
「実はお客さんがきてるんだ」
「ぇ…っ?」
思わず顔の緊張が解ける。
俺が顔を上げると
景が客人に病室へ入るよう促す。
部屋のドアが開いて
そこに立っていたのは
見覚えのある年上の人。
雪の両親だった。