赤の世界
雪の両親が渡してくれた
三冊のノート。
開いてみると
それは雪の日記だった。
一冊目は白色の表紙。
二冊目は桃色の表紙。
三冊目は赤色の表紙。
白いノートをめくる。
まだ少し幼い字の
これは小学生の頃の日記。
『x/x (x)』
今日の天気は晴れ。
だから体育の授業が潰れない。
今日は嫌いなドッチボール。
ボールが当るのが怖い。
時間割を眺めてるうちに
学校へ行くのがいやになった。
だけど近所の悠くんが
朝から家のチャイムを鳴らして
「一緒に行こう」って
笑顔で私を連れ出した。
悠くんはいつもこう。
私が小さな事で気を落とすと
いつもヒーローみたいに現れる。
結局体育の授業も
悠くんが活躍してくれて
私の事も守ってくれた。
チャイムが鳴る間際に
手の届かないボールに手を出して
悠くんがアウトになったのは
きっと私の事を
守ってくれたんだと思う。
悠くんの手がなかったら
私にボールが当ってた。
やっぱり悠くんは私のヒーロー。