赤の世界
『x/x (x)』
今日の天気は雨。
誰かの涙みたいな雨。
悲しくなるような雨。
だけど今日も悠くんが
私の家のチャイムを鳴らす。
「一緒に行こう」って言う
笑顔がとっても眩しい。
降る雨の悲しさなんて
かき消すような笑顔が。
真っ赤な傘をさした
カッコいい悠くんは
「お気に入りなんだ」って
その傘を自慢してた。
とっても羨ましかった。
あんなに赤が似合って。
あんな綺麗な色は
私には似合わない。
そう思って羨んだ。
そしたら悠くんは
私の薄い色の傘をたたんで
一緒に入ろうって
あの傘に招き入れて。
「すごく似合うよ!」って
あの笑顔で言ったの。
とっても嬉しかった。
悠くんが嘘をつかないの
知ってるから。
涙が出そうで
抑えるの大変だったな。
いつかまた悠くんと一緒に
あの傘をさせるかな。
また、いつか。