赤の世界
『x/x (x)』
今日の天気は曇り。
だけど心は曇ってない。
高校生活にもだいぶ慣れた。
友達も作れた。
一人でもちゃんと
頑張れてるかな。
土曜日になると
悠くんが小さい頃のように
家のチャイムを鳴らしてくれて
まだ笑顔を貰っているけど。
またあの笑顔に会う為だよって
自分の心に言い聞かせると
1週間頑張れる私がいて
つくづく悠くんの事が
好きなんだって実感する。
中学生の頃に出来た…
ううん、もっと昔に出来てた
悠くんの眩しさに焼かれて
心の中が爛れた痕を
人は恋と呼んでいる。
だけど私にとって
これはもう恋なんかじゃない。
爛れた痕が傷むたび
火傷の傷が痛むたび
その痛みさえ愛しくて
その熱が恋しくて
治らない傷でいいと
願ってしまうから。
ぐちゃぐちゃに絡んだ
私の恋愛感情はきっと
恋のように儚くないし
愛のように綺麗じゃない。
深く深く深い想いは
図々しく続く恋と願望で
重く重く重い想いは
いびつ過ぎる愛と欲。
私はまだ卑しいまま。
あの光に遠く及ばない。