赤の世界
 
『1/1 (x)』

今日の天気は晴れ。
雲ひとつない晴れ。

元旦にはぴったりの
日の出日和だった。



悠くんと2人で
久しぶりにあの屋上へ行って
暖かな日の出を見た。

いつも見ていたのは
夕日だったからかな。

前に見た太陽よりも
力強い光を感じた。



キラキラ輝いて
直視できない眩しさは
やっぱり悠くんみたい。

強く優しく温かくて
こんな私を包み込んでくれる。



冷たい空気の中で
夢中で太陽を眺めていたら
悠くんがマフラーを外して
私の首に巻いてくれた。

とても温かくて
とても嬉しくて
悠くんの胸に体を預けた。

大きな手が
包むように私を撫でて
初めてのキスをした。



なんて温かいんだろう。


初めて知った人の体温。
いまが永遠に続いて欲しいと
勝手な想いが胸から溢れた。



高校まで変えたのに
やっぱり私は卑しくて

張り裂けそうな胸を
一生懸命抑えていたら
悠くんが私の手を取って
綺麗な指輪を渡してくれた。



「これからも毎年」
「一緒に見に行こうね」って
そう言いながら。


 
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