赤の世界
 
とても綺麗な指輪は
太陽の光を受けて
とても美しく輝いていて

この指輪をしていれば
どんな願いも叶う気がした。



だから真っ赤な朝焼けが
青い空へと消えるまで
ずっと祈り続けたんだ。



いつまでもずっとずっと
この綺麗な景色を
2人で見れますように。

もしもそれが叶わずに
この綺麗な景色を
2人で見れない日が来るなら

私が隣にいなくても
彼だけはこの綺麗な景色を
いつまでもずっとずっと
見る事が出来ますように。

そしてたまにでいいから
彼の見る夢の片隅に
私をそっと連れて行って

安らかに眠る彼の顔を
ほんの少しの間だけ
眺めさせてください。

その時は私の名前と同じ
降りしきるただの雪でいい。
空からひらひら落ちて
彼の優しい顔を見たら
すぐに溶けるから
どうか願いを叶えて下さい。



そう、願ったんだ。




この願いは叶うかな?
きっと叶う気がするんだ。

だって願いをかけたのは
悠くんのくれた指輪だもの。

きっと叶う。


だから何があっても
この指輪だけは守ろう。

そう決めた。


 
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