赤の世界

12. 太陽と霙雪

 
2月20日
俺は退院を迎えた。




「運命を感じない?」

「それともこれも絆?」




病院を出る時
空を見ながら景は
寂しそうに言った。

今日は雪の命日。

空からはまたみぞれ雪が降り
まるであの日のまま。




「ひさしぶりの外だけど」

「どこか行きたい所は?」




もう分かっている顔で
景がそう言う。



「太陽が見たい」

俺がそう呟くと
景は小さく頷いて笑った。


 
< 169 / 186 >

この作品をシェア

pagetop