赤の世界
「悠!アユ電話でピザ取っとくからお風呂入ってきちゃいなよ!洋服貸すし」
「ん、ありがと」
色んな思いを隠して
事故なんか少しも
引きずってないかのような顔で
景や女のコにすがって
夢に救われている自分を
真面目に考えると吐き気が襲う。
本当に、普通に生きたい。
これが事故の後遺症なら
あまりに重い。
あの時負った
左腕や脚の骨折より痛い。
痛み止めの代わりに
灰色の恋愛を繰り返した俺は
行き先の狂った道のりを
正せないままに
ただ夢を見ながら
間違った道のりを
歩き続けてしまっていた。
(本当に、吐き気がするね。)