赤の世界
 
両親が仕事に出ている中で
景と楓が退院した俺を迎える。


そのまま3人で
俺の飛び降りた
あの屋上へ向かう。




「もう変な気は起こすなよ」

「絶対ね!」

景と楓が俺に念を押す。




「わかってるよ」

苦笑いをして
俺は伏目がちにそう答えた。

楓は特に心配しているようで
俺の手を掴み強く握る。

「本当は行って欲しくない…」

そう零す楓の目は潤んでいた。




「心配しないで?」

「今度は生きるために」

「あの場所へ行くんだ」

繋がれた手を握り返すと
楓は弱々しく微笑み頷く。


 
< 170 / 186 >

この作品をシェア

pagetop