赤の世界
両親が仕事に出ている中で
景と楓が退院した俺を迎える。
そのまま3人で
俺の飛び降りた
あの屋上へ向かう。
「もう変な気は起こすなよ」
「絶対ね!」
景と楓が俺に念を押す。
「わかってるよ」
苦笑いをして
俺は伏目がちにそう答えた。
楓は特に心配しているようで
俺の手を掴み強く握る。
「本当は行って欲しくない…」
そう零す楓の目は潤んでいた。
「心配しないで?」
「今度は生きるために」
「あの場所へ行くんだ」
繋がれた手を握り返すと
楓は弱々しく微笑み頷く。