赤の世界
「考え事は終わったの?」
不意に景がそう投げかける。
「え…?」
景の方を向くと
くすりと景が笑う。
「表情険しくないからさ」
「雪の両親に会ってから」
歩きながら景は俺を見据える。
「わかったんだ」
「何のために生きたらいいか」
(いなくなってしまった雪と…)
(一緒に生きる方法が。)
俺の中には
弱いけれど確かな
ひとつの決意が出来ていた。
それが顔に出たのか
「いい表情だね」
と景が笑む。