赤の世界

空は雪雲を一面に広げ
どんよりとしている。

「太陽…見えないね…」

言い辛そうに楓が言う。





「大丈夫だよ」

そう言ったのは景。

(大丈夫。)

俺も同じことを思っていた。





「太陽が近づいてくる」

「傍に来てくれる」

「そうだろ?」

笑みながら景は
無言の俺の肩を叩く。




「あ…っ」

楓が声を上げて
その光景に息を呑んだ。



 
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