赤の世界
夕暮れに差し掛かった日は
だんだんと降下してくる。
雲の間から溢れるように
隙間から赤い光が射し込む。
「きれい…」
楓は手で口を押さえ
零すようにそう言った。
「太陽と雪だ…」
景も楓と一緒になって
光景に見とれている。
雲の隙間から射す
真っ赤な光たちは
雲から降り注ぐみぞれ雪を
綺麗に赤く染めて――
赤い世界に
赤い雪が
降り注いでいるかのよう。
俺がここから飛び降りた時に
気がついたんだ。
(まるで夢の世界が)
(ここにあるみたいだって。)