赤の世界
13. 赤色の世界
君の愛した色彩が
君の愛した世界を染めてる。
俺の愛した色彩が
俺の愛した世界を染めている。
気がつくと
無機質だったはずの自室は
無数の写真に彩られていた。
太陽に照らされた
真っ赤なみぞれ雪の写真が
部屋中を埋め尽くして
壁一面はもちろん
机の上も床の上にも
纏め切れない程の写真。
あれから俺は
カメラを手に取った。
知識も技術もない手で
ただひたすら
シャッターを切った。
夢の中のような赤い世界を
レンズに収めるために。