赤の世界
 
あのこにも
この写真が伝わるんだ。

そう思うと
勝手に頬が笑んだ。



なんとなくその幼い子を
目で追っていると

彼女は1枚の写真の前で
急に立ち止まる。



あのマンションで
初めて撮った

みぞれ雪の写真。




「ねぇママ見て!」

「とっても綺麗だよ!」








「本当に照らされてるみたい!」






(ねぇ、雪…聞こえた?)



幼さの強い
彼女の拙い声が耳に響いて

俺は静かに涙をこぼした。


 
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