赤の世界
 
俺達はひとつになり
太陽はひとつになり

照らすものを失くして
照らすものを探して

見つけたのは
2人で愛した世界。

2人で愛した赤の世界。





ちゃんと照らせたんだ。


ちゃんと伝わったんだ。




(ねぇ、雪…)

(俺はいま)

(こんなにも嬉しい。)






まるで雪が
包んでくれるかのように

不意に体が
温かい温度を覚える。


雪とひとつになってから
初めて感じた

生きる喜び。


俺の頬に伝った涙を
楓がそっと拭った。

それでも泣きやめない俺を
景がそっと撫でた。




ありがとう




そう言いたかったけど
言葉にならなかった。


ただ、俺の胸の中は


喜びと感謝と愛しさと――


さまざまな感情で

溢れるほどに満たされていた。







〔End〕
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