赤の世界
「今日は早起きしちゃったなー」
アユミは少し不服そうだ。
「悠はアラームの前に起きてるし」
「寒かったからね」
「もっとゆっくりしたかったな」
駄々をこねるアユミが可愛くて
子供をあやすように撫でた。
「シャワーする?」
「うん、借りるよ」
朝支度をしながら
アユミと何度かキスをした。
俺は気分が良かった。
いつも朝は好きだ。
幸福だから。
授業が全部終わる頃には
幸福感は消えてしまうけれど。
消えないでという気持ちは
ほとんどなかった。
そういう事を考えなくなるほど
心が満たされていた。