赤の世界
その日はアユミと登校して
学校へ着いてからは一言も喋らず
知り合いですらないかのように
お互いに無関係を装った。
授業が全部終わると
アユミはさっさと下校していく。
アユミは本当に物分りがいい。
俺の彼女を気取ったりもしない。
もう放課後だからだろうか
今朝はあんなに可愛かったのに
もうアユミの事を
可愛い人だと感じない。
幸福感が消えていく。
あんなに熱かった
コーンスープの熱が
すっと消えるみたいに。
代わりに欠落感が生まれて
心をどんどん蝕んでいく。
はやく、埋めなくちゃ。
夜はまだこない。