赤の世界
「あ、母さんだ」
ガチャリ
そうドアノブをいじる音がして
景がそう言った。
「ただいまー。あ!悠くんいらっしゃい!」
「お邪魔してます」
俺がお辞儀をすると
おばさんがふふっと笑った。
俺と会話を済ませると
おばさんはそのまま
キッチンの方へ入っていく。
「じゃ、俺そろそろ帰るよ」
「あ…悠!」
「ん?」
「たまには夕飯食ってけば?」
「…いや、いいよ。ありがと」
そう言って今
丁度景の家から出たところ。
冬のせいか
6時なのに辺りは真っ暗だ。
もう、夜の清んだ匂いがしてる。
俺は冷たい空気を吸ってすぐ
携帯のメモリーを開いた。
適当に女のコの名前を探して
押すのは通話ボタン。