赤の世界
「合い席しても、いいですか?」
少し声が掠れていた。
俺と同じ理由で
ここに寄ったのかもしれない。
「どうぞ」
顔を上げると
そこに立っていたのは
同じ歳くらいの女のコだった。
綺麗なこげ茶色の長い髪を
サラサラと揺らして
長い睫毛と大きな目が
俺を見つめる。
「ありがとう」
笑顔はとても
優しい表情だった。
その姿が綺麗で
思わず俺は見とれて。
「あれ?同じ店…?」
そんな彼女の声で我に返った。
見ると俺がテーブルに置いた
ケーキの箱を指差している。
気付くと彼女の手にも
まったく同じ箱がある。