赤の世界
 
「ホントだ」

「箱の大きさも一緒だね」

偶然の共通点が見つかって
一気に空気が和む。





「間違えないようにしなきゃ」

くすくすと笑う
その笑い方も可愛かった。

感じのいい彼女のせいか
初めて会った相手なのに
会話がするすると進んでいく。





「あなたは何を買ったんですか?」

「楓でいいよ。敬語も平気」

「じゃあ…楓は何を買ったの?」

「チョコレートケーキ」

「あ…」





思わず声を出した。

さっき俺が適当に買ったケーキも
チョコレートケーキだ。





「もしかしたら中身も同じかも」

「ホント?開けてみよっか」





そうして小さい子供のように
好奇心にかられて箱を開ける。

 
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