赤の世界
「あ…!」
箱の中身は全く同じで。
それを見た楓がくすっと笑った。
「やっぱり」
「可笑しい。偶然ってすごいね」
楽しそうに楓が言う。
長い睫毛が
ふわふわと揺れている。
突然テーブルが
小刻みに揺れ出した。
テーブルに置いていた
俺の携帯が鳴っているようだ。
「ごめん、電話だ」
『着信 柏木 景』
画面を見ると、景の名前。
「もしもし、景?」
「おう!誕生日おめでと!」
「さっきメール見たよ」
「後で悠ん家行っていいかな?」
「いいけど…勉強は?」
「平気平気。じゃあ後で」
電話を切ると
楓が目をキラキラさせて
何かを言いたげに俺を見ていた。