赤の世界
「今日誕生日なの?」
唐突なのに的を得ている
その言葉にぎくっとする。
「電話の声聞こえちゃって」
「あぁ、そういう事か…」
「これ、自分の誕生日ケーキ?」
楓がいじわるそうに笑う。
適当な言い訳も見つからない。
降参するような気分だった。
「うん。やばいよね」
どうしようもなく笑うと
楓が意外な事を言出だす。
「実はこれもそうなの」
そう言って楓の手元の箱を
人差し指で差した。
「えっ?」
どういう事かわからず
うろたえていると
楓がまた楽しそうに笑った。