赤の世界
 
携帯の時計を見ると
さっきの景の電話から
だいぶ時間が経っている。

そろそろ
景が家に来るかもしれない。

俺は少し急ぎ足で家に向かった。

予感は的中したようで
俺が家に着くのとほぼ同時に
景から連絡があった。



『ついた!』



さっき自分も通ったばかりの
玄関に戻って扉を開ける。





「おう!誕生日おめでと!」

「ありがと」


久しぶりに見た、景の顔。

学校に行かなくなって以来だ。





「あれ?なんでコート着てんの?」

「あぁ、ちょっと出かけてて」

「そうだったんだ。平気なの?」


平気だよと答えて
寒そうな景を家に招き入れた。

自室に通してエアコンをつけると
景と一緒にコートを脱いだ。



 
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