赤の世界
「…なんか罪悪感あるなー…」
「気にしすぎだから!」
俺から言わせれば
一欠けらでもケーキがあれば
感謝して欲しいぐらいだ。
自分のケーキなんて
買わされる身にもなれ。
父への愚痴を
心の中で唱えていると
そんな心を読んだかのように
景がはっとしてこちらを向く。
「そういやこれ悠が買ったの?」
ばれたと思った。
「出かけてたのって、これ?」
ほとんど当り。
だけどはずれ。
「これは貰い物ー」
「じゃあ貰いに出かけてたのか」
また景がさっきまでの
ニヤついた顔に戻る。
「で、アユミ?ユリ?サキ?」
「だから違うっつーの」
貰い物と聞いて
条件反射のように
女のコの名前を挙げる
そんな景が可笑しかった。