赤の世界
 
まるで

夢を見たときみたいに。

幸福感で満たしてくれる。





「遊びじゃないってこと?」

「多分」

「多分てなんだよ」

「まだ会ったばっかりなんだ」



「どこで?」

「どうして?」

「何でケーキ貰ったの?」


景からの質問の嵐には
苦笑いするしかなかった。

これじゃあ
アユミよりユリよりサキより

ずっとずっと騒がしい。





「つまり一目惚れってこと?」

「うん。年上だって」

「へぇー…。どんな人?」


そう言われて
また楓の姿が浮かぶ。

好きかもしれないと思うと
楓の姿はキラキラと――

いっそう輝いて思えた。


 
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