赤の世界
 
「好みが変わったのかも」



好みがあったのかも
定かじゃないけど
とりあえず俺はそう言った。





「ううん」

否定したのは景だった。
またあの目をしてる。


「悠はずっと変わってないよ」


ぽつりと、そう景がこぼした。





「は?!景が言ってきたんじゃん!」

「俺が間違ってたんだな!」


今度は明るい顔で
子供のようににこっと笑う。





「それよりケーキおかわりー」

「さっきまでの遠慮は?」


皿を差し出す景に突っ込むと
けらけらと笑っていた。

景の明るい態度を見て
俺はさっきの目を
気にしないことにした。


 
< 57 / 186 >

この作品をシェア

pagetop