赤の世界
「好みが変わったのかも」
好みがあったのかも
定かじゃないけど
とりあえず俺はそう言った。
「ううん」
否定したのは景だった。
またあの目をしてる。
「悠はずっと変わってないよ」
ぽつりと、そう景がこぼした。
「は?!景が言ってきたんじゃん!」
「俺が間違ってたんだな!」
今度は明るい顔で
子供のようににこっと笑う。
「それよりケーキおかわりー」
「さっきまでの遠慮は?」
皿を差し出す景に突っ込むと
けらけらと笑っていた。
景の明るい態度を見て
俺はさっきの目を
気にしないことにした。