赤の世界
夜8時過ぎに両親が帰宅した。
おめでとうなんて言われて
家族で夕食を取る自分は
幼いようで嫌気が差したけど
こんな風に祝ってくれる人が
楓にはいないのだと思うと
少し素直になれた。
いいコのように
祝われていたからだろうか。
その日の夜の夢には
待ち望んだあのコが現れた。
夢の中の空からは
楽しい事でもあったかのように
いつも以上に沢山の
雪を降らせている。
踊るように降り注ぐ
雪たちに手を伸ばし
やっぱり道路の真ん中で
こちらに背を向けて
傘をささずにはしゃいでる。
そんな所にいたら車がくるよ?
そんなにはしゃいでいたら
足を滑らせるよ?
あぶなっかしい君は誰?
(ねぇ、教えて。)